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2006年 10月29日(日)

連載・落合政権3年目の功罪ー1 

1.シリーズ回顧

 では、まず日本シリーズについて振り返ってみましょう。
 
 先発ローテについては、シーズン中盤以降にそれまでローテーションの一角を担ってきた佐藤充、マルティネスの両投手が調子を落としてきたため、必然的に川上−山本昌−移動日−朝倉−中田−川上(−移動日−山本昌−朝倉)という形になりました。おそらくは佐藤充の状態が上向いてきていれば、第四戦の先発に。そして、不安のあるリリーフ陣に中田を加えられれば、という考え方も無かったわけではないのでは、と思っているのですが、フェニックスリーグでそこまでのピッチングになりませんでしたから、これがベストの布陣でしょうか。いずれにしても走者を背負ってからが不安なマルティネスは、足のある日本ハム相手には使いづらかったのでは、とは思います。
 リリーフ陣は、ほぼシーズン終盤通りですが、5試合で7人の投手しかベンチ入りしなかった日本ハムとは対照的に、右が吉見、鈴木、平井、岡本(1245)、デニー(123)、中里(345)、佐藤亮(5)、左が久本、岩瀬、石井(1234)、小林(3)、マルティネス(4)と12人もの投手がベンチ入りしている点が目を引きます。実際に使われた投手も日本ハム5人(武田久、岡島、マイケル、トーマス、建山)と比較すると中日は9人(岡本、岩瀬、中里、吉見、鈴木、石井、平井、久本、小林)と、試合展開の差はあるものの、いかにも多いですね。いまひとつシーズン終盤からリリーフ陣がピリッとしなかったことも、その要因になっているとはいえ、ここに両チームの考え方の差を感じます。
 
 ちょっと遠回りになりますが、それには2年前の日本シリーズを思い出さなければなりません。西武とのシリーズ初戦、散発2安打&英智のまさかのエラーで敗れた試合を覚えているでしょうか。シリーズのムードに飲まれて、打線が大振りを繰り返してしまった試合です。首脳陣にはこのあたりの記憶が鮮明だったのか、シリーズの早い段階で多くの選手を試合に出して、シリーズの雰囲気に慣れさせたい、という意図を感じました。投手起用を見てみると、初戦に岩瀬、2戦目には平井−岡本−鈴木−久本、3戦目には小林−中里とここまでに2試合投げたリリーフ投手がいないことがわかります。対して日本ハムは3連投の武田久と岡島、マイケルが2試合ずつと3人の投手しか起用していないのが対照的です。はっきり言って、このペースで日本ハムのリリーフ陣は7戦目まで保つのかと思った方も少なくないと思いますけど。
 
 さて、ここで何かが分かってきましたね。具体的に言うと、両チームの「シリーズを何試合闘うか」というプランの違い、つまりリリーフ陣をどう使っていくかという考え方の違いです。中日側はシリーズで計算できる投手を、シリーズ前半の試合の中で見極めていこうと考えていたように思えます。ですから前半戦は無駄な消耗を避け、シリーズ後半、相手先発投手が1巡し打線がシリーズに慣れた段階で、前半戦で結果を出した計算できる投手を投入して確実に勝ち星を積み重ねていこうと。落合監督のいつものコメント「きょう勝っておけば、あと5戦で(日本一まで)2勝があと5戦で3つになっただけ(2戦後)」からも、7試合することが大前提だったようにうかがえませんか?
 しかし日本ハム・ヒルマン監督は違いました。信頼できるリリーフを最初からどんどん投げさせて、シリーズ前半で押し切ってしまおう、と。多少無理をしてでも、出来の良い投手には長いイニングを投げさせて、投手が変わることで背負うリスクを減らしていこうと、考えているように思えました。
 もしシリーズが7戦まで必ず闘われるのであれば、あるいは試合序盤で日本ハム先発陣が崩れる展開、つまり中日打線が爆発する場面があったなら、中日側の戦略が実を結ぶ場面もあったかもしれませんが…。
 
 作戦面についても、日ハム側に一日の長があったように思います。バント封殺プレーや内外野の守備位置(テレビ観戦なので分からない部分も多いですが)、中日打線への攻め方など、よく研究しているな、と思いました。セ・リーグのチームにありがちな余計な先入観もありませんでしたし。
 逆に、中日側は打順こそはイジリましたが、普段通りの野球をしようとして裏目に出た印象。かならずしも上位打線が良い状態でなかったことがその要因でしょうか。また、中日首脳陣には森、高代を筆頭に日本ハム出身者が非常に多いのですが、「知っている」という過信(というほどでもないでしょうが)が研究不足に通じてしまったようにも思えます。
 
 打線に関しては、負け越して迎えた4戦目以降「勝たなくては」の気持ちが強すぎて、さらに打線が機能しなくなる悪循環に陥ってしまいました。これは7戦まで、を考えていた首脳陣にとっては「想定外」だったかもしれません。シーズン中であれば下手に動かず、じっと上向きになるのを待つのがドラゴンズの野球。146試合トータルで考えればそれが正解だと思いますが、短いシリーズではそういうわけにもいきません。しかし、こういう時、レギュラー+バックアップのスペシャリストというチームには、あまり出来ることがないのです。このあたりは、首脳陣には痛いほど分かっていることだと思いますが…。
 
 ちょっと散漫なまとめになってしまいましたが、これが日本シリーズから受けた正直な印象です。本来、シーズンとシリーズは全く別の闘い方が必要になってくるんですが、それのできる「下地」が今年のドラゴンズには不足していたかもしれません。それが今のドラゴンズが発展途上であるせいなのか、はたまた今の首脳陣の限界なのかは、まだなんとも言えません。ただ、今後はそのあたりを少しづつ考えていきたいとは思っています。

Posted by Copland at 2006年10月29日 12:12
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