2005年 4月28日(木)
開幕しました。 ▽
ホントはもっと早く書きたかったのですが、バタバタしていてすっかり遅くなってしまいましたが…。
日本に遅れること2週間、4月15日にイタリアでも公式戦がいよいよスタートしました。
本来は、リーグ戦の前にイタリア杯というカップ戦が争われる予定だったのですが、ローマ法王ヨハネ・パウロ2世の逝去に伴ってイタリア杯は中止になってしまったようです。試合の重要度は低いとはいえ、各国から選手が集まって公式戦に備える重要な時期の試合が無くなるのは、各チームとも監督、コーチにとっては頭の痛い出来事だったのでは?
さて、公式戦の内容に触れる前に、今日はセリエAのおさらいを。
・セリエA1は全10チーム。各チーム6試合×9チームの54試合の公式戦を9月中旬まで闘います。
・試合は1週間に3試合。金曜はデーゲームで、外国人投手が唯一登板可能な日。土曜日はダブルヘッダー、イタリア人選手と外国人野手のみのゲーム。
となっております。
「予備日程がないので、意地でも試合はやる」
もちろん、グラウンドがぐちゃぐちゃになってしまうほどの豪雨の場合は中止もありますが、基本的にはなんとか試合を消化しなければなりません。試合が中止になった場合でも、再試合は無しで(優勝、降格が関わってきた場合はやるときもあるようですが)最終的には試合数が各チーム間で違ってしまうことも珍しくないようです。
当然、イタリアでも雨は降るわけで(あたりまえですが)、そういう試合は「天気待ち」という悲しい状況になってしまいます。22時前くらいに雨が止んだと思ったら「今から芝生の水を全員で採って試合をやる!」ということもあったようで、試合終了は当然深夜。誠に選手の皆さん、お疲れさまです。
これも内野が芝の球場ならではのエピソードなのですが、イタリアにはどの町に行っても綺麗に手入れされた天然芝の球場があるようです。レッジョ・エミリアの球場も写真を見る限り綺麗な球場で、内外野に貼られた芝生がナイター照明によく栄えています。ただ、この球場のスゴイところは芝ではなくて、その大きさです。なんと甲子園もビックリの両翼115メートル・中堅133メートル(笑。ここ3年ほどはHRが出ていないらしいです。もちろん左中間・右中間の膨らみも深いので、右中間、左中間を抜けたアタリでも、なかなかフェンスに達することはないという有様。(ちなみに国際規格は両翼100m、中堅120m)フェンスは2.5メートルくらいですが、バックスクリーンに放り込むには、単純計算で140mくらいは飛ばさないと…。
ただ、もちろんカブレラやウッズのようなごっつい野手も向こうにはいるわけで、HRが出ないのにはもう一つわけがあります。

「恐ろしく飛ばないボール」
そう、最近話題のボールですが、イタリアの公式球は米ウイルソン社の中国製ボールです。革が堅く、縫い目が高い(たぶん綿糸)のボールなのですが、これがどうやら全く飛ばないらしい…。
日本では、ミズノの低反発球で飛距離が4m落ちたとかいう話題がありましたが、それも所詮ミズノのラビットボールと比べての話。このボールは、プロで使われているボールよりもかなり飛ばないといわれているミズノの五輪公式球どころか、メジャー使用球のローリングスのボールよりも飛ばないというのが、選手の評価のようです。正直、自分も国際的に考えて日本のボールは飛びすぎて弊害が大きいと思っているのですが、ここまで飛ばないのも問題かも(笑
さて、球場の話に戻りますが、日本人がイタリアの球場を見て、最も最初に感じる違和感は、球場の「雰囲気」の違いではないでしょうか。自分が高校時代に応援に通っていた横浜のローカル球場である保土ヶ谷球場や追浜球場(今は横須賀スタジムですが)でも、かなりリッパなスタンドとバックスクリーンがあり、日本ではそれが当たり前のような風景になっています。しかし、イタリアの野球場にはここまでの設備がどこにでもあるわけではありません。それは、イタリアセリエA所属各チームが必ずしもが入場料収入を基盤にしているわけではないため、それほど大きなスタジアムを必要としていないということも、理由としてあるのではないでしょうか。
もちろんセリエA1では、A2からの昇格条件として「球場の整備」(ナイター照明やある程度の客席の設置)があるように、もちろん試合のチケットも販売されていますが、その収入だけで球団経営が成り立っているわけではありません。というか、正直言ってほとんどチケット収入は見込めないので、ほほ全ての球団運営費はスポンサーからの出資で賄われています。イタリアではスポーツや福祉活動に出資することによって、税の軽減などの優遇を受けられるシステムになっているため、企業がスポンサーとして参加しやすいのです。
「国に税金を払うくらいなら、スポーツや福祉に払う方を選ぶ」という会社や、「スポーツのために出資する」という意識の高い会社もあるようですが、ほとんどのスポンサーは特に野球には興味があるわけではなく、税金対策で出資しているだけ、というのが実情のようですが、理由はどうあれ、地元で利益を得た企業がスポーツや福祉にその利益を還元してクラブ運営をサポートするというのことが、ごく当たり前に考えられているのは確かだと思います。もちろん、その背景には、イタリアという国がスポーツを「文化」として市民に必要なものと当たり前に考えており、また市民レベルでもその意識が十分根付いていることがあるからだと思いますが。
このことは、今の日本における社会人クラブの現状と考え合わせると、考えさせられる点が少なくありません。企業収益の減少で大きく数を減らしている社会人チームが、「会社のチーム」でなく、「複数企業に支えられる地域のチーム」であったなら、また状況は違っていたのではと思うのですが…。
難しい話&長いエントリーになってしまいましたが、次回は湊川選手の近況も含めたレッジョ・ベースボールの近況などを書きたいと思っています。
2005年 3月29日(火)
湊川、イタリア初安打。 ▽
しばらくぶりの記事になりましたが、イタリア関係の記事を。
元ドラゴンズの湊川選手も3月10日にはイタリアに到着しました。3月19日(土)には1番サードでスタメン出場。5打数2安打、1盗塁と順調なスタートを切ったようです。
どうやらチーム事情から、レッジオ・ベースボールではセカンドではなく、サードを守るようですね。期待は大きいようですから、是非がんばってほしいと思っています。
何故、こんな地味なニュースが分かったかというと、レッジオ・ベースボールに近い方が日本語のBlogを開いてくださったためです。あまり詳しいことは分からないのですが、今後とも、情報をアップしてくださるようなのでイタリアの野球事情に興味のある方は、是非一度訪れてみてください。
イタリア野球 セリエA REGGIO BASEBALL(asreggioさま)
さて、今日はイタリアに渡った日本人選手たちを特集したいと思います。
割と日本国内では、イタリア野球に関する評価がまちまちなようですから、日本とイタリア双方のチームでプレイした選手の成績を比較してみることで、そこに光を当ててみようかな、という企画です。
イタリアには日本と同じように「外国人枠」というシステムがあり、「外国籍選手」は各チーム5人(A1の場合)までと定められています。ただ、日本の外国人枠とちょっと違うのは、外国人選手が日本のように全ての公式戦に出場できるわけではないという点です。
通常、イタリア・セリエAは、週に3試合のゲーム日程が組まれていますが(金、土曜の2日間で土曜部はダブルヘッダー)、外国人投手には金曜の夜の試合のみにしか登板が許されておらず、土曜日の試合(2試合とも)には登板できません。ですから、土曜日に行われるダブルヘッダーは外国人野手とイタリア人選手のみの試合になります。前述したように、基本的にイタリアでは1週間に行われる試合数は週末の3試合のみと、週6試合を行う日本と比べると、比較的少ない投手数でペナントレースを戦えてしまうことからイタリア人投手に十分な機会を与えられるようにということで考えられたルールだと思います。
ですから、一週間の試合数が少ないだけに、ペナントレースを勝ち抜くためには優秀な先発投手の能力にかかるウエートが、日本に比べてはるかに高くなっています。そういう意味で、特に優秀な外国人「助っ人」投手が当然望まれているわけです。中南米から来ている外国人助っ人の殆どが米メジャー経験者か3A・2Aプレーヤーと、日本と変わらないレベルの選手がプレーしていることも、何ら不思議なことではありません。
ただ、イタリア人とは言っても、外国では2重国籍を認めている国が多いため(日本では、たとえ出生時に複数の国籍を持っていても、20歳になった時点でいずれかの国籍の選択を迫られます)、海外で育ったイタリア系プレーヤーが数多くプレイしており、イタリア人=下手という簡単な図式でもありません。もちろん、彼らはアメリカやオーストラリア(この2カ国で育った選手が多いようです)で育っていますから、ほとんどイタリア語すら満足に話せません。しかし英語しか話せなくても、イタリアに来た以上、彼らももちろん『イタリア人』ですから、ルール上は全く問題ありません。こうした事情で、イタリア代表においては代表選手の多くがこのようなアメリカやオーストラリアで育った『イタリア人』で占められているようです。というわけで、彼らはイタリア代表のみならず、イタリア野球のレベルアップに大きな力となっているようです。
さて、イタリアに渡った日本人選手を取り上げましょう。
★脇田 善旨選手 1971年生まれ
(天理大−阿部企業−米独立リーグーボローニャー台湾ー02年引退)
・
>天理高で藤立(元中日)と同期。
>脇田選手は日本でのプロ経験こそありませんが、イタリアにおけるパイオニアです。日本人投手の評価をイタリアで高めた功績は大きいと思います。彼の成功に味を占めたボローニャは、日本人投手を数多く獲得していきました。
★品田 操士投手(しなだ・あやひと)1973年生まれ。(花咲徳栄ー近鉄ー米独立・エルマイラ・パイオニアーズーボローニャー不明)
・近鉄での通算成績 64試合、7勝5敗0S、防御率6・19。
・01年、米独立リーグ、エルマイラ・パイオニアーズで18試合に登板し10勝7敗、防御率3.29
・
>脇田選手と同じく、米独立リーグからボローニャというラインでイタリア入り。初めてのプロ経験のある投手のイタリア入りです。
★前田勝宏投手(まえだ・かつひろ)1971年生まれ(神戸弘陵−プリンスホテル−西武−3Aコロンバスー2Aノーウィッチ−中日ドラゴンズ−興農ブルズ−ボローニャー上海ゴールデンイーグルスー現役続行)
・西武での通算成績25試合 0勝2敗0S、防御率4.89
・5年間のアメリカではメジャー昇格なし。
・01年、中日ドラゴンズでは1軍登板なし。
・02年、台湾・興農ブルズでは24試合に登板し、3勝4敗5S
・
>ドラゴンズから台湾球界を経てのイタリア入り。課題のコントロール難が解消せず、外国人枠の関係もあって、シーズン途中に解雇となりました。昨年は日本人初の中国リーグ入り選手となり話題を呼びました。
★小野 剛投手(おの・ごう)1978年生まれ(桐蔭学園ー武蔵大ー巨人ーパルマーサンマリノ(A2)ー西武)
・巨人では1軍登板なし。
・03年、サンマリノで16試合に登板し、3勝5敗2S、防御率4.41
・04年、西武では11試合に登板し0勝0敗0S、防御率5.30
>イタリア球界を経て、日本球界に復帰した初の選手。今季も西武で現役続行中。
★キム・ヨンド選手(日本名:南 容道選手)(法政大−レッドソックス1Aーサンマリノーサムソン)
・03年、サンマリノで打率.290の成績。
>韓国籍ですが、イタリアで活躍した数少ない日本出身の野手。イタリアではキム・ヨンドという登録名で活躍。昨シーズンは韓国リーグのサムソンのテストを受けたようですが、惜しくも合格ならず…。現在はプロではプレーされていないようです。
他にもいるのかもしれませんが、自分に分かったのはこんなところです。脇田、品田両投手は成功を収めましたが、前田、小野投手は「助っ人」という立場からみると、ちょっと物足りない成績ですね。両投手とも日本ではプロ選手としてプレイしていましたが、それだけでイタリアで結果が残せるほどイタリア野球のレベルが低くないことがお分かり頂けたでしょうか?
こんな視点で湊川選手のイタリアでの活躍を見守ってみてはいかがでしょうか?
2005年 2月21日(月)
イタリアリーグについて ▽
元ドラゴンズの湊川選手が、イタリア・セリエAのレッジオ・ベースボールに入団することが決まったと以前記事の中で書きましたが、イタリアの野球事情が少し分かってきましたのでご紹介したいと思います。
以前書いたように、イタリアにはセリエAからCまで、プロチームだけで130のチームがあります。選手達は各チームから給料を貰ってますから、プロかプロでないか、というと完全にプロであるといえます。
もちろん、野球による収入だけで生活している選手もいますし、野球以外の他の仕事を併せてやってる選手もいるようです。給与の多寡は、どうやら各チームのスポンサーの力に負う部分が大きいようで、お金を結構もらってるセリエCリーグのの選手もいれば、ほとんどもらってないセリエBの選手もいるようで、そのあたりはまちまちであるように思われます。
ということで、基本的には地元企業の何社かがスポンサーになってクラブを運営するというシステムで、これは野球もサッカーなどの他のスポーツと同じです。よく欧州のサッカーチームについて、クラブチームという言い方をしますが、これは日本でいうところの『クラブチーム(自分たちでお金を出して活動する選手の集まりや、給料を貰ってない選手の集まり)』とは明らかに違う意味で、「お金をもらってやってる」欧州のサッカーチームを『クラブ』と呼ぶのなら、もちろん野球チームも同じ意味での『クラブ』です。(その意味では横浜マリノスも中日ドラゴンズもクラブチームですね。)
またこの下にジュニアのカテゴリーも4つあるようなので、イタリア国内であらゆるカテゴリーを含めると500か600くらいのクラブがあるのではないでしょうか。
小さな町でも大人のリーグの他に、ジュニアチームが6チームもある場所もあるくらいですから、日本で認識されているよりも(野球は)かなり盛んなようです。
日本と同じように4月頃からが、野球のシーズンにあたるようで、そろそろ湊川選手もイタリアに向けて旅立つ頃でしょう。シーズンに入るともう少し情報が増えてくると思いますから、また何か分かったら書いていきたいと思います。
